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  • 執筆者の写真Ken Omae Design

Steve Jobsを偲んで デザイン編①

 2021年10月5日はSteve Jobsの命日で、彼がこの世から去って10年になる。


 父親がMacintoshを購入したのが僕が中学生か高校生の時だった。初めて触った時に、マウスで絵が描けることに感銘を受けた。あと記憶に残っているのはOSが起動した時の「ボ〜ン♪」という音とスプラッシュ画面(起動時のアニメーション)の美しさだ。デザイナーを志して美術大学に進んだ以降も、創作活動をする上でApple製品は常に側にいた。 また、昨年まで住んでいたアメリカ・シリコンバレーでは、アップルの本社があるクパティーノ市に居を構えていたこともあり、勝手に縁を感じている。その当時、アメリカの知人から譲り受けたのがこの初代Macintoshだ。1984年に発売されたこの製品は今も電源が入りOSも稼働する。そして代名詞となったGraphical User Interface(GUI)も健在だ。今のスマホネイティブ世代には当たり前かもしれないが、コンピュータを動かす時にアイコンやアニメーションで操作をするというのは画期的なアイデアだった。それを本格的に実装したオールインワンのパーソナルコンピュータの初代Machintoshはデザインのお手本である。時折、箱から出して眺めている。


時代を作ったデザインはストーリーを語ってくれる


 僕はデザインの参考として時代を作ったデザインを集めるのが好きだ。やはり現物を手にすると、そのデザインが持っているムードは挑戦者たちのメッセージとして心と感性に伝わってくるからだ。この初代Machintoshから伝わってくるのは「全てに妥協せず、全てを実装して世に出すこと」だ。これは極めて難しい。人間なら、どこかに妥協してもいいんじゃないかと思ってしまう。でもこのデザインは一つも妥協していない。ユーザーの期待を遥かに超えることを目指した素晴らしいリーダーと、それを実現する素晴らしいエンジニアやデザイナーがいたからこそ達成できたデザインだ。

 

 私が所有しているこの初代Macintoshは非常に状態が良く、当時のマニュアルやSteveからのメッセージカードも新品同様な状態で入っている。携帯用のカバンまで揃っている。本体以外の備品を見ても、きめ細やかな配慮が行き届いており、それは2021年の現在も世界をリードする企業の姿が1984年のこの時にすでに確立されていることに驚かされる。



妥協なき創造活動こそがストーリーを生み、人を感動させる


 Steveのプレゼンで僕が一番好きなのは、1984年1月23日にDe Anza CollageにあるFlint Center(ここは自宅から歩いて5分だった)で行われた初代Macintoshのプレゼンテーションだ。嬉しそうに携帯カバンに詰めた初代Machintoshを嬉しそうに聴衆に見せて、フロッピーを差し込むと「Hello, I'm Macintosh.」と音声で喋り出すというプレゼン。そしてリドリー・スコットの伝説的なTVCFが流れる。先に述べたように、妥協のない創造活動がストーリーを生み聴衆を感動させるのをまさに体現している。


今現在、色んな手法論がパワーワードとして飛び交う場に立ち会うことが多い。それも大事かもしれないが、やはりまず我々がやるべきことは妥協のない創造活動と、それを世に出す努力だと思う。そのことを初代Machintoshを見るたびに思い出し、改めるのである。


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 Ken Omae Designが実施するデザインシンキングのレクチャーは、企業で家電製品や新規事業開発に明け暮れた15年を超えるキャリアを通じて確立した手法です。その成功と失敗を繰り返した実例を交えながら演習することによって、デザインシンキングの真髄を体得し実践することができます。ご興味のある方は、是非下記のボタンよりご連絡ください。



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